2013年3月4日月曜日

ルポ 貧困大国アメリカ II 堤 未果 (著)


・前著に引き続き、あまり愉快な気分にはなれないアメリカのお話し。ただ、冷泉さんの「アメリカは本当に「貧困大国」なのか?」を読んだ後なので、のめり込み過ぎずに読んだ。

・とは言え、やはり衝撃的な証言の数々には慄然とする。保険制度の改正については、推進派、反対派、そして現場の医師などに対する取材により、単に国民皆保険にするだけでは問題が解決しないという複雑さを浮かび上がらせている。

・前著では国民貧乏にすりゃ、徴兵しなくても入隊するしか選択肢がないという状況に慄然としたが、今回もそれに匹敵するインパクトの取材が。その名も「刑務所ビジネス」。囚人達は最低賃金を遙かに下回る賃金で働かせることができ、それを企業が労働力として利用する(!)。更に、その賃金の低さに加えて、民営化された刑務所(!)ではトイレットペーパーの使用料まで囚人から徴収し、出所したら、ムショ暮らしの間に借金ができてしまっているという、出口ナシ状態。更に加えて、アメリカでは刑の軽重に関わらず3回、有罪判決を受けたら問答無用で終身刑だそうで、この制度の名が「スリー・ストライク」。ふざけてんじゃないかというネーミングだが、刑務所暮らしにさえコストがかかり、出所したら既に借金まみれって、絶望的におかしくない?

・アメリカがこんな大変な状況なのだとしたら、それを打開するために自らの経済的権益を拡張する手段としてTPP(不勉強だが)などを強行推進するのも、もっともな話だと思えてくる。我々が思ってる以上にアメリカはアメリカで追い詰められているのかも知れない。


0 件のコメント:

コメントを投稿