2013年4月27日土曜日

感動をつくれますか? 久石 譲 (著)

・宮崎アニメの音楽と言えば久石譲というのが定番になっているが、ナウシカのBGM担当は細野晴臣だった。でも彼の作る音楽が世界観に合わなかったのでリリーフに久石さんが採用されたのがはじまりだったはず。

・久石さんが最初はミニマルミュージックを作曲する芸術畑だったというのは初めて知った。「ポップ」ということについての考え方には、大野雄二の「ルパン三世 ジャズノート&DVD」と似た印象を受けた。

・「歌詞というのは、言葉が時代の空気に合った瞬間に、サーッと広がっていく(P185)」という最後の方の一文が「詩歌と戦争」を連想させた。念のため確認すると「詩歌と戦争」は2012/5/26、本書は2006/08/10。それだけに「詩歌と戦争」の説得力が増すことになる。

・ブックオフでたまたま目にして購入。

2013年4月21日日曜日

特撮ヒーロー番組のつくりかた 小林雄次 (著)

・特撮ヒーロー番組について 1) 主として円谷陣営の最新作品の裏事情 2) 仮面ライダー陣営の平成事情 3) 戦隊もののこれまでの来し方 というポイントで読みやすく解説してくれている。最近の特撮事情にあまり詳しくない人にオススメ。ちなみ著者は1979年生まれで、既にウルトラマンマックスの脚本なんかも手がけてる。そんなわけで、ウルトラマンゼロが登場してきてからの円谷サイドの考えなどについて語ってくれてるのは、なかなか得がたい資料。だからと言って、ゼロのキャラクター設定にはまだ首肯できるものではないが。

・「人間態を持たないゼロのやんちゃで人間臭い口調やキャラクターは、子供たちにとって親しみやすい存在になった((P108)」とはホント?

・「特筆すべきは、バット星人という従来の宇宙人のあとに「グラシエ」という個人名を付けたことにより、俄然、個性が生まれたことだ(P237)」って、「バット星人・グラシエ」という新たな種族かと思ってました。そういうことであれば、ちょっとエポックメイキングな試みと言えるかも。ただ、星人という文明に属するものを相手にするのであれば、その個体がずっと出続けるのか、また、その必然性は?ということにもなりそうだが。ちなみにマックスに出てきた萌え〜なタイニー・バルタンは明らかに個体を特定して再登場してほしいよね。

・ロボコップを製作する際、バーホーベン監督がギャバンのデザイン引用許諾を求めた手紙を送ってきていたとは知らなんだ。

・「私は自分の書くストーリーが子供たちに夢を与えていると言い切る自信はない。また、「夢」という言葉を安直に使うこともはばかられる。(中略)だが、これだけは断言できる。特撮ヒーロー番組には、人の心を救う力がある、優れた作品は誰かにとっての希望になり得るのだ(P266)」。

マンガ・特撮ヒーローの倫理学―モノ語り帝国「日本」の群像 諌山 陽太郎 (著)

・日本は物語の構成フォーマットを守って「モノ語り」を紡ぎ続けている世界でも希有な「モノ語り帝国」とのことだが、そこへ至るまでの様々な前提の固め方が強引な印象。自ら、モノ語りのフォーマットは世界的な普遍性を持つと言いつつ、それを現在も踏襲しているのは日本だけであり、だからこそ世界でも力を持つというのは、あまりにも稚拙な結論付けではないか。モノ語りのフォーマットについては神話にアーキタイプがあるというのはJ.キャンベルが説得力を持って検証済みだし、ルーカスが、そのキャンベルの説を下敷きにしてスターウォーズを構想したというのは有名な話。

・久々にハズした本だったというのが正直な読後感。ただし、手塚治虫と石ノ森章太郎の対比についての論点など、面白いと思う箇所も幾つかあった。自分の読み込み方が足りないのか?方法論と結論が先にありきで論旨が構築されているような印象を持った。

2013年4月14日日曜日

信念をつらぬく 古賀 茂明 (著)

・他の本でも古賀さん書いてたけど、政治は国民が少しでも関心を持って行動することが大事。その具体例は、1000円でもいいから献金して、何をやってるかちゃんと見るということ。複数の著書で繰り返して言ってるってことは、結構有効なことなんだろう。

・また、本書では、官僚も政治家も結構普通の善良な人だという当たり前だけど曇りがちな認識を示しているのもよかった。自分もステロタイプな悪役責任論に陥りがちなので。