2013年5月25日土曜日

日本の「情報と外交」 孫崎 享 (著)

・現代では、少しの手間で入手できる情報により、情報マフィア予備軍ぐらいの情報を得ることができる。「『フォーリン・アフェアーズ』を読むことは、米国国務省政策企画部マフィアの準構成員レベルに行けることである。(P88)」

・東西ドイツの壁崩壊につながる動きの端緒はハンガリーからだったが、その動きを画策したのはアメリカのパパ・ブッシュ。だが、CIA長官も務めたブッシュは「『成功は人に告げることなし』のモラルをもっていた人物である。(P117)」

・「重要なことは、世界の情勢を見るとき、『まず大国(米国)の優先順位を知れ、地域がこれにどう当てはまる?』を考えてみることである。(P131)」

・「CIAというと一般にタカ派の拠点の印象を受けるが、米国の政治抗争の中では、CIAがハト派に位置する場面が多い。(P191)」

・「したがってCIAは、自由労働運動の強化、競争的な協同組合の結成、各種の文化的、市民的、政治的団体の援助にも、多くの努力を払った。(P216)」いわゆる「隠然的影響力」ってやつか。

・「『ロシア現政権には、歯舞、色丹を除き、北方領土で日本に譲歩する可能性はまっくありません』『米国をはじめ各国の対応を見ていると、いま、日本が国連安全保障理事会の常任理事国になれる可能性は存在しません』(P250)」とのことだが、この解釈は折田本と真逆。また、北方領土についての見立ては鈴木宗男や佐藤優の本と真逆。

・「国際社会での米国の優位性の後退は、避けがたい潮流と思う。同時に中国の力は上昇する。米中の狭間にあって、日本の安全保障政策の舵取りは難しい時代に入る。否応なしに独自の情報能力が問われる時期が来る。ほんとうはその日に備え、日本は情報機能を強化すべき時期に入っている。(P261)」

・山本七平の「空気の研究」、本書でも出てきた。読まなきゃ。

・ちなみに、孫崎さん、ちょっと日本語の使い方に難アリな印象が散見された、意外だが。

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