2015年10月28日水曜日

地方創生ビジネスの教科書 増田 寛也 (著)

 日本の自治体における活性化の事例を、解説を交えながら紹介するという形式。各事例毎に、お上手にまとめた見開き2ページのチャート図が付いている。N総研に作らせたのか?(笑)

 興味深かったのが第6章の和歌山県北山村と第8章のニセコの事例。
 和歌山県北山村では、ブレイクスルーが役場内にいたITに詳しい職員の作ったホームページから始まったという。やはり、いくら民間にお金を流すためと言っても、何でも業務委託で外部に任せるより、内部で手を動かせるエンジニアがいた方がよいと思った。
 ニセコ町では、町が「まちづくり町民講座」を実施した。これによって町民の当事者意識が上がり、ニセコとしてのまちづくり条例の制定につながったという。ちなみにニセコ町は観光協会を株式会社化したという点でも有名。

 「地方でこそITを活用する余地が大きい」というのはお説ごもっとも。しかも、特に北海道の中小自治体にとっては有益でしょう。

 ただ、地方創生ビジネスの興し方や進め方についての理論的な解説がなかったのが期待外れだった。帯では「極意を公開」なんて著者のにこやかなご近影と共に掲げてるのだから。もっと自身の知見などを開陳して益田節を出しててもよかったのではないかというのがマイナスポイント。あんまり執筆に時間かけてねーなと感じてよく見てみると「監修・解説」となってました(笑)。なお、同じ著者による中公文庫の「地方消滅 創生戦略篇」は、この辺りについてもう少し詳しく語られていて参考になる。

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